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【レポート】稽古場オフィシャルレポート公開!

原作コミックスは累計発行部数220万部超え、TVアニメ化・TVドラマ化など数々のメディアミックスを経て、満を持して舞台化を迎える舞台『パリピ孔明』が、いよいよ5月3日(金・祝)、東京・天王洲 銀河劇場で初日を迎える。
開幕目前の4月某日、都内稽古場にて、本番用の小型マイクをつけての通し稽古が行われ、キャスト陣が熱のこもった演技を見せた。

幕開け、三国時代の動乱に飲まれ、兵士たちに支えられた満身創痍の諸葛孔明が登場。戦の経緯がつまびらかに語られることはないが、孔明の荒い息遣いが、乱世の厳しさを雄弁に語る。TVアニメからの『パリピ孔明』ファンを公言しており、本作に並々ならぬ愛着をもつ藤田 玲の演技が、観る者の五感を舞台『パリピ孔明』の世界に一気に引き込む。孔明が自らの余命を悟り、来世への展望を語ったところで、突如現代的なロックミュージックが轟き、物語は現代へ。
お笑い芸人として自らもステージに立ち、舞台を熟知する石田 明(NON STYLE)ならではのメリハリの効いた演出が冒頭からさく裂。舞台上に姿はなくとも、〝脚本・演出家 石田 明ここに在り〟を、ディレクションで魅せつける石田のワザが光る。

現代の渋谷でハロウィンパーティーに興じる若者たちと邂逅した孔明は、狂乱のさなかで”地獄の歌姫”と出会う。岩田陽葵演じる月見英子が、2階建て装置のセンターでノリの良いパーティーチューンを跳ねるように歌唱。その姿を見止めたことから、孔明の世界は色づき、物語は一気に動き出す。

声優としても活躍する岩田の抜けの良いクリアな発声は、藤田の独特の色気をもつ低音と抜群の相性。一言一言を丁寧に放つことで冷静さや大人の余裕を感じさせる藤田と、弾むような台詞回しで若者特有の快活さを表現しきる岩田。
長く舞台業界でも活躍する二人だけに、ダイアローグのみで年齢やバックボーンの違いを感じさせ、正反対でありながらもパズルのピースがはまったような”しっくり”感。シリアスな作品での共演歴はあるものの、今作のようなコメディータッチな作品でも見事なコンビネーションを発揮してみせる。 

渋谷のクラブ・BB loungeを取り仕切るオーナー小林役は、脚本・演出の石田とも親交の深いなだぎ武。重厚な佇まいで物語を締めながらも、軽快な体さばきでコメディリリーフとしても物語を牽引。アドリブも含めて劇中に随所に笑いを散りばめ、お笑い芸人と俳優を両立してきた熟練の技を見せつける。

フリースタイルラッパーとして活躍しながら、”訳あり”な過去をもつKABE太人を演じる高尾楓弥(BUDDiiS)も、独特の存在感で登場から目を引く。所属グループではラップも担当しているだけに、劇中のラップバトルシーンでは低音が印象的なマイクパフォーマンスで観る者を圧倒。
恵まれた肢体で登場から目を引く小泉萌香は、岩田演じる英子の親友・ライバルの久遠七海役。ラフな稽古着ながら、原作コミックスやTVアニメから飛び出してきたような2次元的ビジュアルで、物語の世界感を高めていた。

個性的な歌声とダイナミックなダンスが印象的な立道梨緒奈(ミア西表役)、コミカルな動きと熱量で存在感を発揮する大野紘幸(ファン1号役)、どこかミステリアスな居ずまいで物語のスパイスとなる沖野晃司(赤兎馬カンフー役)、原作コミックスから抜け出してきたようなルックス、オフステージでも軽快なトークで現場を引っ張る碕 理人(唐澤役)ほか、キャスト陣の個性が随所に光る。

要所で披露される劇中音楽も、石田演出ならではのテンポの良さを引き立てる。TVアニメ版でもお馴染みの「チキチキバンバン」(QUEENDOM)や、「気分上々↑↑」(mihimaru GT)など、まさに”パリピ”なアップテンポミュージックから、じっくりと聴かせるドラマティックなバラードまで、多種多様な楽曲の数々により物語がより鮮やかに。
本編最後に歌唱される舞台版オリジナル楽曲も、本作の大きな見どころの一つだと言えよう。

通し稽古中、真剣な表情でキャストの演技をチェックし、時折ペンを走らせる石田の姿は、お笑い芸人としての活動では見られない”演出家”の顔。
5月3日(金・祝)天王洲 銀河劇場での初日を間近に控え、キャスト・スタッフの並々ならぬ熱意と集中力がみなぎる稽古場から、話題作の舞台化という”挑戦”に臨む熱い意気込みや責任感が感じられた。
所狭しとステージを駆け回る愛すべき"パリピ"たちが、次なる「パリステ」ブームを巻き起こす日を楽しみに待ちたい。
 
文・山本知伽
撮影・森 好弘